食による予防医学

病気と食生活とは密接な関係にあります。食生活のバランスがとれていれば、ほとんどの病気は予防できます。免疫力の高い体をつくることによって、寿命を延ばすことさえできるのです。病の原因は、遺伝的要素よりも、環境やライフスタイルなどの要素に、大きく左右されていることがわかっています。

 

「食道楽」を書いた村井弦斎は「小児の教育は、知育よりも徳育よりも体育よりも、食育が先。」、ヒポクラテスは「食べ物で治らない病は、医者でも治せない。」と言っています。

これは、食べ物で体がつくられている限り、変わることのない格言です。

 

栄養学は科学として、100年以上にわたり、食品の栄養成分を分析し、その各々が人体に摂取されてどのような機能をしめすか、その必要量はどのくらいか、また不足や過剰が健康にどのような影響を及ぼすか、という研究によって発展してきました。

 

このような分析的な科学の反面には、総合的な考察が伴わなければならないのに、その分野の研究が遅れていました。

 

そこでできる限り具体的に、東京都大田区にある「松井病院 食養内科」での私の経験を通して、話をすすめたいと思います。

 

「生活習慣病」が医療費の大半を占めている以上、食生活の面から各個人の努力で自分の食生活を見直すことにより、国の医療費の削減ができると確信しています。

 

病気になってから慌てるのではなく、平素の火の用心を心がけなければなりません。国も予防医学に力を入れてほしいと考えています。

この誌面は生活習慣病を予防し、健康寿命を延ばし、国の医療費を削減するために作られました。

 

今後下記の生活習慣病と食事の関係について、書いていこうと考えています。

1 がん 2 糖尿病 3 心臓病 4 脳血管疾患

5 肝臓病 6 アルツハイマー病 7 腎臓病 8 肺疾患

9 アレルギー疾患 10 精神病

 

食の基本的な考え方は以下の通りです。

1.和食中心のメニューにしましょう(カタカナメニューは時折に)

2.主食はなるべく米飯にしましょう

できれば、玄米か未精白が良い。白米の場合は、雑穀(麦、もちきび、もちあわ、稗、アマランサス等)を入れましょう

3.バランスのとれたもの

副食はなるべく豆類、大豆製品、発酵食品、野菜、海草を中心にして、肉より魚にしましょう。

4.食材はなるべく新鮮で、できる限り農薬を使用していないもので、旬のものを選びましょう。

5.インスタント食品、清涼飲料水は控えましょう。

6.牛乳、乳製品は、アレルギーの原因になりやすい。アレルギーがひどい場合は、摂らないようにしましょう。

7.脂肪は控えめに、オメガ6と、オメガ3は4:1位の割合で、できる限り、酸化されない工夫をしましょう。

8.よく噛んで、腹八分目を心がけましょう。

9.お酒は少量にし (1日 1~2合まで、休肝日をつくりましょう)

10.食品のカビに注意(輸入食品)しましょう。

11.食物に感謝して食べましょう。

 

病は口から入ると言っても、過言ではありません。外食は、ほどほどにして、手作り料理にしましましょう。

児玉 陽子

管理栄養士

18歳で皮膚病、23歳で結核を患い日野式を実践、食養を学び、1969年から河野臨床医学研究所付属北品川総合病院で食養指導を開始。内科医の日野厚博士と共に、我が国で初めて一般病院(松井病院)に食養内科を創設し、40年近くにわたり2万人以上の患者の食生活指導にあたる。現在はフリーランスで活躍中。家庭における食生活の大切さを説き、多忙を極めている。生活習慣病と食の関係につて、造詣が深い。著書に『臨床栄養と食事改善指導』『アレルギーにならないための離乳食』共著(緑書房)などがある。
児玉 陽子