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生活習慣病について(最終回)

生活習慣病のシリーズは、これが最後です。

以前のコラムでも申し上げましたが、生活習慣病として、癌(2人に1人が罹患)、糖尿病(8人に1人が罹患)、大腸がんの増加、慢性腎臓病患者数1300万人、腎臓透析の患者さんも増加傾向という現状があります。認知症も増えていて1150万人です。また、生活習慣病に罹患する若年化も深刻な課題です。これらで使われる医療費は、国家財政を揺るがすほどになっています。

昭和44年、日本に唯一の科として 故日野厚先生が中心となられて「食養内科」が設立されました。病院の経営者は、これからの医療は、食事療法を抜きにしては考えられない時代になるとおっしゃって、食べて体を養うという理念のもと、経営者自らが「食養内科」と命名されたのです。

日野厚先生は、現代医学にも東洋医学にも精通しておられました。当時は、病院の中で食養内科という名前に驚かれ、特に他科の先生方には理解されず、「食養内科」のスタッフは、苦労をしました。

 

食養内科は、大きく分けて診療と外来の栄養指導(管理栄養士)と、入院食専門の栄養士が厨房におり、それぞれが食養内科のスタッフとして配属され人数も大所帯になりました。科では食事療法、絶食療法、現代医薬、漢方薬処方、鍼灸治療、カイロプラクティック、心理療法がありました。その中で私は、食養内科の科長として、先生の秘書として病棟回診に付き、又、外来部門と入院部門の管理をしました。日野先生は、学会発表を年1回はされていて、夜に資料作りをこなします。現代医学に限界を感じられた先生方が多数勉強にみえていて、そのお世話も私の大切な役目でした。この時代は、病院給食に食材の質にまでこだわる考えはありませんでした。それでも我々は、食材を吟味し、調味料は良い物にこだわり、玄米を中心としました。

 

入院患者さんは、治療と、知識と、食べることで、体の変化を勉強していきます。全国から難病の患者さんが多数来られました。がん、アトピー性皮膚炎、糖尿病、高血圧、心臓病、腎臓病、腎臓透析、膠原病、クローン病、潰瘍性大腸炎、等々です。食事療法で、病気を治すことには限界がありますが、食事療法をすることで、難病が好転することが多々ありました。

食事療法が、薬の効き目すらも良くするように感じていました。末期の病気でも食事療法をしていると苦しみが軽減され、痛み止めの投与が増えるのを抑制する効果があります。これは、人間らしさをできるだけ維持することにもつながり、本人にも家族にとっても、とてもありがたいことだと思います。

 

食事は、平素も大切ですが、病が重篤になっている時に、スプーン1杯の内容が明暗をわけることさえもあります。選択を誤れば患者さんが苦しみ、良ければひと息つくことになります。真剣勝負です。先生、栄養士などの技量が問われるところです。

皆さんも平素から勉強していると、体調が悪くなった時に対処が出来るようになります。

 

平成10年に、成人病から生活習慣病に名前が変わりました。生活習慣病は、治してもらう受け身の医療から、病気治しには、患者自身も食事と生活習慣を見直し改善することが必要であると、当時の厚生省により明確に打ち出されたのです。主役は患者なのです。

昨今は、当たり前に食事と運動の大切さが言われるようになり、とても良いことと感じています。

 

私は、病院で食事指導をして退職後、現在は、「食生活の見直し、改善」、「生活習慣の見直し」等のテーマで、全国で講演をさせて頂いています。この間に大きく変わったことは、患者ご自身が実践することの重要性が増してきたことです。多くの患者は、長い間の習慣を、分かっていても、なかなか変えられず、患者も指導者側も苦労するところです。日野先生は、栄養指導ではない、人間指導だと仰っていました。

私の話は、当たり前で地味ですが、実践していくにつれ聞く耳が出来るといいましょうか、それが又、理性を高め、体が機嫌良くなり、病気がほぐれていくきっかけとなります。

気が付けば当たり前のことだと気付くことから、又素直に受け入れられる自分になるまでが辛抱です。自分の健康を守り、維持していくためには、自分で出来る「食事療法」からです。それと運動と質の良い睡眠です。

病を克服するためには、家族の協力は不可欠です。

皆さん、出来ることから始めましょう。

 

生活習慣病を防ぐ参考になりましたら、幸いです。

 

児玉 陽子

児玉 陽子

管理栄養士

18歳で皮膚病、23歳で結核を患い日野式を実践、食養を学び、1969年から河野臨床医学研究所付属北品川総合病院で食養指導を開始。内科医の日野厚博士と共に、我が国で初めて一般病院(松井病院)に食養内科を創設し、40年近くにわたり2万人以上の患者の食生活指導にあたる。現在はフリーランスで活躍中。家庭における食生活の大切さを説き、多忙を極めている。生活習慣病と食の関係につて、造詣が深い。著書に『臨床栄養と食事改善指導』『アレルギーにならないための離乳食』共著(緑書房)などがある。
児玉 陽子